Z 4331
:2005
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人 日本保
安用品協会(JSAA)/財団法人 日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS Z 4331:1995 は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実
用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登
録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS Z 4331
には,次に示す附属書がある。
附属書 1(規定)ファントムによる個人線量計の指示値の差に対する補正方法
Z 4331
:2005
(2)
目 次
ページ
1.
適用範囲
1
2.
引用規格
1
3.
定義
1
4.
性能2
5.
種類及び形状
2
6.
材料
2
7.
外観2
8.
試験3
8.1
試験項目 3
9.
使用方法
3
9.1
線種及び目的による用途分類
3
9.2
個人線量計の設置場所及び設置範囲
3
10.
表示
3
附属書 1(規定)ファントムによる個人線量計の指示値の差に対する補正方法
4
日本工業規格
JIS
Z
4331
:2005
個人線量計校正用ファントム
Calibration phantom for personal dosemeters
1.
適用範囲 この規格は,1 cm 線量当量及び 70 μm 線量当量を測定する X・γ線,β 線及び中性子用
個人線量計(ただし,手足用を除く。
)の校正に使用するファントム(以下,ファントムという。
)につい
て規定する。
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらのい引用規格のうちで発行年を付記しているものは,記載の年だけがこの規格の規程を構成す
るものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最新
版(追補を含む。
)を適用する。
JIS K 6718-1
プラスチック−メタクリル樹脂板−タイプ,寸法及び特性−第1部:キャスト板
備考 ISO 7823-1:1998 Plastics - Poly(methyl methacrylate)sheets - Types,dimensions and characteristics -
Part1: Cast からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS K 6718-2
プラスチック−メタクリル樹脂板−タイプ,寸法及び特性−第2部:押出板
備考 ISO 7823-2:1996 Plastics - Poly(methyl methacrylate)sheets - Types,dimensions and characteristics -
Part2: Melt sheets からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 4001
原子力用語
備考 ISO 921:1997 Nuclear energy - Vocabulary 及び IEC60050-393:1996 International Electrotechnical
Vocabulary - chapter393 並びに IEC60050-394:1995 International Electrotechnical Vocabulary -
chapter394 からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 4511
照射線量測定器,空気カーマ測定器,空気吸収線量測定器及び線量当量測定器の校正方
法
JIS Z 8103
計測用語
ISO 4037-3:1999
,X and gamma reference radiation for calibrating dosemeters and doserate meters and for
determining their response as a function of photon energy - Part3: Calibration of area and personal
dosemeters and the measurement of their response as a function of energy and angle of incidence
ISO 8529-3:1998
,Reference neutron radiations - Part3: Calibration of area and personal dosimeters and
determination of response as a function of energy and angle of incidence
3.
定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 4001 及び JIS Z 8103 によるほか,次による。
a)
個人線量計(personal dosemeter) フィルムバッジ,電子式個人線量計,蛍光ガラス線量計,熱ルミ
ネセンス線量計,光刺激ルミネセンス線量計,固体飛跡線量計など,個人が体外から受ける線量当量
を測定するため特に携帯用に作られた小形の線量計。
2
Z 4331
:2005
b)
ファントム (phantom) 人体における放射線の散乱及び吸収を模擬するための物体。
c)
レスポンス (response) 線量計指示値の基準線量に対する比。
4.
性能 性能は,次による。
a)
外観 8.1.b)によって試験したとき,表面の平らさ,異物,きず,泡及びひび割れが目立たないこと。
b)
漏水 8.1.c)によって試験したとき,漏水及び著しい変形が認められないこと。
5.
種類及び形状・寸法 ファントムの種類及び形状・寸法は,表1による。
表 1 ファントムの種類及び形状・寸法
種類
名称
形状・寸法
PW
水槽形
個人線量計装着面が 30±1 cm の正方形,厚さ 15 cm で個人線量計装着面が壁
厚 2.5 mm,それ以外の面が壁厚 10 mm のメタクリル樹脂板
P-30
平板形
個人線量計装着面が 30±1 cm の正方形,厚さ 15 cm のメタクリル樹脂板
P-40
平板形
個人線量計装着面が 40±1 cm の正方形,厚さ 15 cm のメタクリル樹脂板
備考1. PW は,水の出入口を設ける。(図 1 参照)
2.P-30
,P-40 及び 9.1 の備考 2.に示すメタクリル樹脂製のファントムは,板状のものを重ね合わせて必要な厚
さにしてもよい。
図 1 PW ファントムの構造(単位は mm)
6.
材料 ファントムに使用する材料は,JIS K6718-1 又は JIS K6718-2 に規定するメタクリル樹脂板と
する。また,メタクリル樹脂の密度は 1.19 g/cm
3
とする。
7.
外観 表面が平らいで,異物,きず,泡及びひび割れについては目立たない状態でなければならない。
また,PW については,水を満たしたとき,水漏れがあってはならず,また,著しい変形があってはなら
ない。
3
Z 4331
:2005
8.
試験
8.1
試験項目 試験項目は,次による。
a)
寸法試験 種類及び形状により,寸法を調べ,表 1 に適合するか調べる。
b)
外観試験 7.により,表面の平らさ,異物,きず,泡及びひび割れの有無を目視で調べる。
c)
漏水試験 7.により,PW については,水を満たしたとき,水漏れ及び著しい変形の有無を調べる。
9.
使用方法
9.1
線種及び目的による用途分類 X・γ線及び中性子用個人線量計のレスポンスを求める場合には,
PWを使用する。この場合 ISO 4037-3 の 6.3.1 及び ISO 8529-3 の 6.2.2 を参照する。ただし,
137
Cs,
60
Co
などの高エネルギーγ線については P-30 及び P-40 でもよい。また,
137
Cs よりもエネルギーの低い X・γ
線又は中性子に P-30 及び P-40 を使用する場合は,
附属書1に示す方法を用いて,ファントムの種類及び
形状の違いによる指示値の差に対する補正をしなければならない。
β 線については,表1に示したファントムのいずれかを使用する。
備考1. 個人線量計が有しているレスポンスが維持されていることの確認などを目的とする場合は,
P-30 または P-40 を使用することができる。
2.
β 線については,個人線量計装着面が 10 cm 以上の正方形,厚さ 2 cm 以上のメタクリル樹脂
製のファントムを使ってもよい。
9.2
個人線量計の設置場所及び設置範囲 個人線量計は,ファントムの前面に設置する。個人線量計の
設置範囲は,PW 及び P-30 では中央の 10 cm×10 cm,P-40 では 20 cm×20 cm の範囲内とする。
10.
表示 ファントムには,次の事項を表示しなければならない。
a)
種類及び名称
b)
製造業者名又はその略号
c)
製造年月又はその略号
4
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附属書 1(規定) ファントムによる個人線量計の
指示値の差に対する補正方法
1.
適用範囲 この附属書は,ファントムの種類及び形状の違いに伴う個人線量計の指示値の差に対する
補正方法について規定する。
2.
方法
a)
照射装置とファントムに設置した個人線量計との具体的な幾何学的配置については,JIS Z 4511 による。
b)
照射装置又は実用照射装置を用い,個人線量計を PW,P-30 又は P-40 に設置した状態で照射し,個人
線量計の指示値としてそれぞれ H
PW
,H
P
を求める。両者の比から,P-30 又は P-40 に設置した個人線量計
の指示値から PW に設置した個人線量計の指示値に変換する係数 g を求める。
g=H
PW
/H
P
c) P-30
又は P-40 における個人線量計の指示値に係数 g を乗じ,
PW に設置して照射した場合に示すと見込
まれる指示値を得る。