(※ここまでプロローグ文章 (※ここから第1話 哲「・・・勝っっっっっったああああッ!!!」 額に付いた汗をぬぐう事もせず、俺は大きく手を広げて叫ぶ。 山寺「・・・くそ、負けた・・・」 目の前でうめいているコイツは、友人と言うには程遠く、かと言って赤の他人ではない存在。 つまり・・・。 哲「そうだ、ただの知り合いだ。そうだそうに違いない」 山寺「・・・何やらとても失礼なことを言われているような気がするんだが」 ポンと手を叩くと、ただの知り合いが何やらとても疲れ切ったような目を向けてくるが、多分気のせいだろう。 本日放課後、俺――古河哲――は友人2名と共にゲームセンターにやってきた。 そして見つけた格闘ゲームで対戦することにしたが。 哲「なんだよ1勝14敗って・・・」 負けて負けて負けた後に手にした勝利。 哲「・・・でもなんか納得できないよーな・・・」 ゲームバランス絶対おかしいだろコレ。 とか思っていると。 室宮「お、決着が着いた系か?」 ゲーセンに一緒に来た、もう1人の友人がアイス片手に近づいて来た。 哲「あぁ、やっと勝てた。ところで室宮(むろみや)はやらないのか? この・・・なんとかストリームってヤツ」 流転する世界、だとか大層な名前が付けられたゲーム機の筐体(きょうたい)を軽く叩く。 室宮「でも俺が本気出すと絶対機械がぶっ壊れるんだよなぁ。再起不能のレベルで」 哲「・・・いや壊すなよ」 室宮「まあそれはともかく」 室宮「古河さぁ、この後って何か用事あるか?」 哲「いや、特に無いけど」 室宮「だったらなんか食いに行かないか? 俺、いい店知ってるから。つーわけでレッツゴー」 山寺「え、俺の意見無視?」 室宮「いーじゃんいーじゃん。どーせヒマなんだろ?」 というわけで、ゲーセンを後にする時、 女子生徒「うう・・・後1回、後1回で取れるはずなのよ・・・!」 UFOキャッチャーにへばりついているその女子生徒(うちの高校の制服を着ていた)の事がなぜか、印象に残ったりもした。 (※場面転換 ゲームセンターを出て学校方面にしばらく歩くと、ステラという喫茶店に着いた。 入り口のドアを押すと、上部にくくりつけられた鐘がカランカラン、と軽く上品な音をたてる。 (※続く――